Pちゃんです。
実は約6年前に訪問看護ステーションを立ち上げました。
しかし残念ながら、3年程で休止に追い込まれ、今年で指定期間が満了し、めでたく正式に廃止・閉鎖となりました。
今回は、訪問看護ステーションの立ち上げ~閉鎖までの経過を書いてみたいと思います。反面教師として受け取ってもらえれば幸いです。
①立ち上げ準備(看護師の確保)
まずは、看護師を集めです。訪問看護ステーションには人員基準があり、看護師を2.5人以上、配置しなければなりません。
要するに常勤(フルタイム)2名、非常勤(パート)1名の看護師を探すところからスタートです。ケアマネジャーをしていた看護師を配置転換する予定だったので、準備段階で1名は確保していました。
残りの2名については、
ひとりはハローワークからの紹介。たまたま会社の近くに住んでいるヒトで、近所でフルタイムの仕事を探していたヒト。
もうひとりは、確保していた看護師の知り合い。このヒトはパート希望でした。
こんな感じで看護師を確保できました。
②立ち上げ準備(役所への申請)
看護師を確保したら、役所に申請をして、訪問看護ステーションの指定をもらわないといけません。役所のホームページに申請書類がアップされているので、それを記入して提出するんですが・・・。
これがかなり面倒くさいんで、1回では受理されないんです。訂正や追加書類の提出などで、受理してもらうのに、僕は2~3回ほど役所に行きました。
その後、役所の担当者が現地調査に訪問して、指摘事項を受け、それをクリアすると訪問看護ステーションの指定がもらえます。
だいたい、書類の受理から30日くらいで指定がもらえます。
指摘事項で印象に残っているのは、
・ユニフォームの洗濯方法
自分で洗濯するのか、業者に依頼するのか?自分で洗濯するのであれば、除菌方法を理解しているのか?
・医療ゴミが出た時の対応
注射器や針などの医療ゴミが出た際に対応できる体制を取っているのか?
この時は医療廃棄物業者を紹介してもらえました。
・手洗い場の場所の確保とその周り
手洗い場を確保しているのか?
手洗い場にウォーターサーバーを置いていたら感染対策上よくないと注意されました。
・訪問看護未経験者での立ち上げだったので、研修に行けと言われた。
未経験者で始めるのは役所としては認めにくいらしく、どこでもいいから、訪問看護ステーションに出向いて研修をさせてもらえと言われました。
最初に地域の訪問看護ステーション協議会?の窓口になっている某訪問看護ステーションに連絡しました。
研修を出来ないか確認したところ、担当者から「なんのために訪問看護を始めるんですか?最近、安易な気持ちで訪問看護を始めるヒトが多いんです。そんな簡単に研修なんて出来ると思っているんですか?。」等々、さんざん嫌味を言われてしまい・・・。
仕方ないので、知り合いの訪問看護師に泣きついて、そのヒトが勤務してる訪問看護ステーションに研修に行かせてもらいました。
ちなみに嫌味を言ってきた担当者は、数年後、利用者とトラブルになり、うちの訪問看護ステーションに泣きついてきました。ざまーみろ(笑)
③立ち上げ(ちまちまと金がかかる)
申請から1か月後、めでたく訪問看護ステーションが立ち上がりました。始めてみると、物品の購入費用がかかりました。いざ始めてみると、あれがないこれがないという感じですね。
・パソコン、プリンター
・自動車
・ユニフォーム
・記録用紙
・パルスオキシメーター
・血圧計
・聴診器
「仕事で使うので買って下さい。」と言われると買わざるを得ないので、意外とお金がかかりました。またウチの地域はクルマ社会なので、当然、訪問には自動車が必要です。これも購入しました。
④看護師のモチベーションが低く、なかなか利用者の数が伸びない
始めてみると、看護師のモチベーションの低さに気付きました。
・緊急対応はしたくない
・土日祝日は訪問したくない
・人工呼吸器に繋がれたヒトは無理
・事務作業したくない。医療事務を雇って欲しい。
など、甘っちょろいことばかり言ってるので、なかなか利用者の数が伸びませんでした。そのため、収益的には、なんとかトントンといった感じ。あまり利益は出ませんでした。ちなみに事務作業は僕がやってました。
⑤看護師を増員するが、定着せず。
ずっと上記の3名の看護師でやってましたが、看護師を増やさないと仕事が増えないし、一時的に仕事が増えることがあったので、パートの職員を増員しました。しかし、これがなかなか定着しない。
シフトを管理者に任せていたんですが、当日の朝にスケジュールをLINEで知らせる(つまり当日の朝まで予定が分からない)方法をしていたんです。
時には当日の朝に「今日は仕事ないので、お休み。」と連絡されることもあったんです。そんな感じなので、働きにくさを感じて辞めていくヒトが多く、なかなか看護師が増えませんでした。
⑥ひとりの看護師の退職をきっかけに全員が退職し、閉鎖することに。
看護師が増えないまま、ずっと人員基準ギリギリのままでやってました。ぶっちゃけ利用者は5~8件/日なので、これを2.5人で回すので、看護師ひとりあたりの訪問件数は少なかったと思います。朝はゆっくりしたい雰囲気だして、訪問時間を9:30~にしてたし・・・。
パートの看護師が夫の転勤に伴い、他県に引越すことになり、退職することになりました。すぐに代わりの看護師を入れないと指定取り消しになってしまいます。かなり焦りました。たまたま僕の知人の奥さんが看護師でウチで働きたいと連絡があり、これで続けられると安堵したんですが・・・。
管理者にこのことを伝えると・・・。
僕 「代わりの看護師さん来てくれることになったよ。」
管理者 「訪問看護の経験あるの?。」
僕 「無いよ。」
管理者 「じゃダメじゃん。また最初から教えるんでしょ?もう疲れた。」
僕(の心の声) 「一回、殴っていい?疲れるほど働いてねーだろ。」
僕 「じゃ、訪問看護、閉めます?」
管理者 「・・・。」 頷く
という流れで、訪問看護ステーションをあっけなく閉鎖することになりました。
ちなみにもうひとりの看護師もしれっと「私も疲れました。」と言って退職することになりました。
⑦閉鎖までの経過1
閉鎖を決定したのはいいものの、利用者さんを他の訪問看護ステーションに引き継いでもらう必要があります。引き継ぎ先を探していた時に、偶然、訪問看護ステーションを立ち上げたいというヒトに出会いました。
ウチの会社の地域で立ち上げようと事務所を探していたらしく、たまたまウチの会社に相談に来ました。
どうせならと、このヒトに利用者を引き継いでもらうようお願いしました。
看護師集めにも苦労していたようなので、短期間でも、ウチの辞めていく看護師に手伝ってもらいたいとの希望があり、それを伝えると、喜んで移籍を承諾されちゃいました。たしか移籍金をもらってた気がする・・・。
⑧閉鎖までの経過2 (看護師のやる気が更に低下)
数か月に閉鎖と利用者・看護師の移籍が決まりました。
閉鎖が決まってから、看護師たちのモチベーションは更に低下。勝手に利用者を他の訪問看護ステーションに引き継いだり、閉鎖の挨拶に遠くの病院に行ったりと、自分たちが楽をするための動きしかしない感じ。もうやりたい放題でした。
注意しようと思いましたが・・・。もうすぐで閉鎖だし、注意してお互いに嫌な思いをするより、スルーして気持ち良く退職してもらうことにしました。
そして数か月後、10~20名程度を引き継いで閉鎖となりました。
⑨訪問看護ステーションをやってみて思ったこと
・意外と儲からない
訪問件数を増やさないとなかなか利益が出せないと思います。それには多くの看護師を雇う必要があると思います。ギリギリの人数だと仕事の依頼がこないです。経費に占める看護師の人件費がかなり高いです。
僕が参考にしてたブログでは、利用者が最低でも30名以上いないと利益が出ないと書いてありました。
・モチベーションの高い看護師を集める必要がある。
ウチの訪問看護ステーションはモチベーションの低いヒトしかいなかったので・・・。核となるモチベーションの高い看護師を集めれば、ステーションの雰囲気もピリッと引き締まると思います。ウチはそれが出来ず・・・。
以上、長々と失礼しました。
訪問看護ステーションを立ち上げたい方、興味のある方の参考になれば幸いです。
ありがとうございます。